もし善男子善女人あって、この法華経を受持し、もしは読み、もしは誦(暗記)し、もしは解説し、もしは書写せん。
この人は、まさに八百の眼の功徳、千二百の耳の功徳、八百の鼻の功徳、千二百の舌の功徳、八百の身の功徳、千二百の意(心)の功徳を得べし。この功徳をもって六根を荘厳して、皆清浄ならしめん。
如来の一切の所有の法、如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深(じんじん)の事、皆この経において宣示顕説す。もしは経巻所住のところあらん。すなわちこれ道場なり。諸仏ここにおいて三菩提を得、諸仏ここにおいて法輪を転じ、この人の功徳は無辺にして窮まりあることなけん。
よくこの経を持(たも)たん者は、風の空中において一切障礙(しょうげ)なきが如くならん。
――――如来神力品
この経はよく一切衆生を救う、この経は一切衆生をして、諸々の苦悩を離れしむ。この経はよく一切衆生に余りある益を与え、その願を充満せしむること、清涼池のよく一切の諸々の渇乏の者に満たすが如く、寒き者の火を得たるが如く、裸なる者の衣を得たるが如く、商人の主を得たるが如く、子の母を得たるが如く、渡りに船を得たるが如く、病に医者を得たるが如く、闇に灯を得たるが如く、貧しきに宝を得たるが如く、この法華経もまたまた是の如し。よく衆生をして一切の苦、一切の病痛を離れ、よく一切の縛を解かしむ。
この経はすなわちこれ、一切世間の人の病の良薬なり。もし人病あらんに、この経を聞くことを得ば、病すなわち消滅して不老不死ならん。
――――薬王菩薩本事品